筆記試験と言えば学生だけが対象で、既卒、第二新卒、転職者などの選考は、面接のみ実施されると考えている人は多いのではないでしょうか?
実は最近の傾向では、既卒や中途採用の現場でも、適性検査を重視する企業が増えています。
社会人向けの適性検査は、その種類や内容もさまざまです。
上京して就活する際に、選考の一つのカギとなる適性検査について詳しく紹介していきましょう。
目次
既卒でも適性検査の受検は必要? 企業の傾向を知ろう
既卒者の場合でも、新卒と一緒に募集されている場合、同じフローで選考するケースが多いと言えるでしょう。その場合、適性検査の受検が選考過程に含まれることになります。
しかし同じ適性検査でも、既卒や第二新卒の場合、企業は新卒とは違う視点で見ていることがあることを知っておきましょう。
既卒者のほうが、適性検査で表れる数値の評価がシビア
新卒採用の場合、書類選考後、一次面接前に適性検査を実施することが一般的なケースと言えます。
新卒対象の適性検査では、学歴だけでは測れない、基礎学力や性格傾向を見るのが主な目的です。
一方、既卒、第二新卒では一次面接を通過した後に適性検査が実施されます。
社会人にふさわしい一般常識があるか、会社が求める人物像に合っているかをより厳密に判定したいという意図があります。
そのため既卒者向けの適性検査では、性格検査と能力検査の2種類が課されることが多いのです。
実際に地方既卒者で、適性検査を受検した人は?
地方の既卒者が上京して適性検査を受ける際には、どのような行動をしているのでしょうか。ここで2人の体験を紹介します。
エージェント登録でも、予期せぬ適性検査で慌てた既卒者
東京のエージェントに登録したある既卒者のケースです。
登録すれば、あとは面接を設定してもらうだけだと安易に考えていたと言います。
ところが登録時にPCスキルを詳細に書かされることが多くありました。
また、派遣会社を併設している転職エージェントでは、OAスキルチェックに加え、適性検査まであったとのことです。
また、書類通過後は、企業からSPI受検を指示されることもあったと言います。
学生時代の試験勉強から長年経っていたため、予期せぬ試験で対策ができず、精神的に焦りを感じたそうです。
また、指示されたSPIの受検は指定のテストセンターを予約する必要があり、会場の予約にも苦労したと言います。
都内の空いている会場でやっと予約ができ、上京して受検したそうです。
第一志望内定のため、猛勉強して適性検査に臨んだ既卒者
JALやANAのような大手航空会社に入社することが夢で、就職浪人をして就活を行った人の話です。
エントリーシートでかなりの割合の人がすでに落とされているはずだと分析しました。
そのため、適性検査も決して油断してはならないと考え、対策本を購入し猛勉強したと言います。
制限時間に対応するために時間配分の戦略を立て、解答テクニックを必死に覚えたそうです。
既卒のため勉強から遠ざかっていましたが、今年は絶対内定を取ると決めて勉強し、適性検査に臨んだとのことです。
既卒に課されやすい適性検査12種、傾向と対策
既卒はもちろんのこと、第二新卒でも選考の際に実施されることが多い適性検査を12種類紹介します。
傾向と対策を知って受検に臨みましょう。
既卒向け適性検査の種類は主に12種類!
既卒向け適性検査として実施数の多いものをご紹介します。
【性格検査系】
①SPI性格検査
SPI性格検査は、行動傾向や向いている組織・職種を診断するものです。
②Compass
Compassは、ストレス耐性、対人関係スタイルなどを診断するものです。
③玉手箱
玉手箱は、短時間で行うパーソナリティ診断。
国語・数学の検査も同時に行うことがあります。
④ProViT
ProViTは、心理学ではなく脳科学・統計学に基づき性格傾向を測定するツールです。
【能力検査系】
⑤SPI能力検査
SPI能力検査とは「総合適性検査」の略です。
業種・職種を問わず広く利用されています。
⑥CAB
CABは能力検査の一種で「コンピューター職適性診断テスト」の略です。
主にIT関連企業で利用されています。
⑦GAB
GABは能力検査の一種で英語版でも実施されます。
商社・金融業界などで利用されています。
⑧HCi-ab
HCi-abは言語、数理、時事社会から出題され、「常識度」も判定される検査です。
【作業検査系】
⑨内田クレペリン
内田クレペリンは作業検査法の一種で、処理能力の程度などが測定されます。
⑩V-CAT
V-CATは作業検査法の一種です。
研修や昇進時にも使われており、社会人向きの検査です。
⑪SCOA
SCOAは、事務能力や仕事のスピード、確実性を診断する検査です。
【独自検査系】
⑫TAP
TAPは企業が作成した「オリジナル問題」を取り入れている検査の一例です。
それぞれの検査系への対処法を、項目別に見ていきましょう。
既卒の適性検査では性格検査を慎重に行う
既卒者、中途採用で最も頻度の多い適性検査は、性格検査と言えるでしょう。
性格検査にはもちろん正解がありません。
しかし、急いで短絡的に答えてしまい、最初と最後のほうで回答の傾向が異なってしまうことがあります。
また、社交的でリーダーシップもあり、且つ何をしても成績優秀といった「あり得ない人物像」を答えてしまったりすると、偽った回答をした可能性があるという判定になり、不利になることがあります。
面接では、性格検査で答えた人物像と一致しているかを判定されることになります。
面接での答えを意識し、慎重に回答するようにしましょう。
既卒でもSPI適性検査が実施されるケースが多数
最も汎用的な能力検査であるSPI適性検査には「基礎能力検査」「英語検査」「構造的把握力検査」の3科目があります。
既卒・中途採用で実施されるのは、多くは「基礎能力検査」のみとなります。
内容は、言語(国語系)・非言語(数学系)の問題で構成されています。
知識だけではなく、解き方も重要になっているので、試験が選考に含まれるとわかった時点で問題集を買って実際に練習をするようにしましょう。
既卒向けの適性検査では、作業検査も重視される
適性検査として作業検査法の「内田クレペリン検査」などが実施されることがあります。
これは計算能力や注意力・集中力・精神の安定性などを測ることができます。
既卒、中途採用の選考でも、鉄道運転手のようにミスが許されないような職種や、官公庁関連などで実施されることが多いようです。
その人が持っている処理能力を見るためのもので、試験勉強で対策できるものではありません。
無理な就活スケジュールで寝不足での受検は禁物です。
試験勉強は不要と割り切り、十分集中できる状態で受検しましょう。
既卒向けの適性検査には、会社独自の一般常識テストも
適性検査には、企業が独自に出題する一般常識テストもあります。
出題傾向として、時事問題を問うものが最も多いようです。
他に、ビジネスマナーや敬語などが問われることもあります。
SPIと同様に、国語や計算問題も出題されやすい傾向があります。
試験対策としては、公務員試験用の一般常識の参考書が役立つという声があります。
既卒者なら、秘書検定など資格試験の問題集や対策本を利用している人もいるようです。
地方の既卒者が適性検査を受けるときの注意点
ここまでは既卒者が受検する、代表的な適性検査を見てきました。
しかし、地方の既卒者にとって、注意すべき点がいくつかあります。
既卒でテストセンターの適性検査を受けるなら上京時がチャンス
企業から適性検査としてSPIの受検を指示された場合、全国のいずれのテストセンターでも受検が可能です。
とは言ったものの、新卒選考のピーク時にはすぐに満席になってしまい、受検するチャンスさえなくなってしまうので注意が必要です。
そこで、地方の既卒者には、就活で上京する際に、都内の大規模なテストセンターを予約することをお勧めします。
都内会場なら受検期限が迫っていても、受検枠が空いていることがあります。
地方既卒者の適性検査は一発勝負! 必ず試験勉強を
都内在住の既卒者・第二新卒であれば、あえて志望度の低い企業に応募し、何度も適性検査を受けることで慣れるという対策を取る人が多くいます。
地方在住の場合、練習のために上京就活を繰り返すのは現実的ではありません。
そのため、必然的に一発勝負となってしまいます。
対策なしで大丈夫と油断せず、必ず前日までに試験勉強をしましょう。
地方の既卒者にとっては、適性検査に適した環境づくりが大切
適性検査は、会場で受検することもあれば、自分のパソコン等で受検することもあります。
会場で受検する場合、地方から上京した既卒者は、前泊して対策を取ることをお勧めします。
対策本を読んだり、模擬試験問題を解いたりなど、心にゆとりのある状態を作ることを心掛けましょう。
性格検査などをパソコンで受検する場合は、事前に検査に集中できる環境を整えましょう。
室温や空調に気を配り、できる限り静かな時間帯を選ぶことで検査に集中できます。
既卒者の適性検査前日には、静かに集中できる個室が最適
地方の既卒者が上京して就活し、適性検査に臨む際は、宿泊先で個室を確保することが課題です。
ビジネスホテルの客室などが試験勉強に集中しやすい環境が整っていますが、ホテルに泊まる予算がない人は、民泊の個室を利用することをお勧めします。
既卒者は民泊の個室で、適性検査前日の対策を万全にしよう
民泊は安く連泊する手段として、今注目を集めています。
地方から適性検査や面接のために上京就活する既卒者には、個室型の民泊のニーズが高く、お勧めです。
まとめ
既卒者の中には、適性検査に苦手意識をお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、対策次第で内定の確率を上げることも難しくないのが適性検査です。
傾向と対策を知って、受検に臨みましょう。
- 面接での回答を意識し、慎重に対応する【性格検査】
- 問題集を買って対策できる【SPI適性検査】
- 計算能力や注意力・集中力・精神の安定性などを測る【作業検査】
- 一般常識の参考書が役立つ会社独自の【一般常識テスト】
一発勝負の傾向が強い地方既卒者の場合、前日の準備や過ごし方が大切になります。
個室が使える民泊に泊まれば、試験準備の環境を整えることができます。
万全の準備をして適性検査に臨みましょう。